イタリア政府はこのほど不法滞在する外国人に対して滞在許可証を特別発行することになり、今月初めからその受け付けが始まった。しかし許可証の発行数を制限したため、窓口となった警察署に予想を大幅に超える応募者が殺到し、けが人が出るなど混乱が続いている。
今回の措置は、不法移民対策を強化する法律改正に伴うもので、今年3月以前から国内に滞在し、すでに仕事と住居が定まっている外国人を対象にしている。政府の調べでは、対象者は全国に少なくとも23万人いるとみられるが、今回は3万8000人にのみ許可を出すことにしている。
今月4日に始まった申請受け付けでは、手続きの煩雑さや当局の準備不足も加わり、各地で混乱が相次いでいる。ミラノでは申請書類の受け取りをめぐる順番争いからけんかとなり、けが人が出たほか、長時間の行列に気分を悪くし、手当てを受ける人が続出した。警察官などによる申請者に対する非人道的な対応も目立ち、イエルボリーノ内相が陳謝。ダレーマ首相は9日、今回許可証を受け取れない対象者について、来年新たに許可証を発行する考えを示した。
内務省によると、19日までにすでに16万人が申請した。こうしたさなかの17日、シチリアにクルド人178人が乗った船が流れ着いたほか、北アフリカや中東、アルバニアなどからの移民流入が続いている。